まずは「争族」を防止する
自分が亡くなったあと、その遺産を巡って我が子らが争いをすることは、出来る限り避けたいものです。ここでは、遺産を巡って一族が「争族」となるのを防ぐ方法について、説明いたします。
生前贈与の効用
相続に関するトラブルを予防するために効果的な方法の一つが、生前贈与です。
生前贈与は、生きているうちに自分の意思を明確にするという意味では遺言と同じ効果がありますが、遺言と異なるのは、生前にご自分の財産を実際に特定の人間に与えるという行為を伴うことです。
贈与者本人は、生前に自分の意思で確実に財産を与えることができ、その理由や気持ちを直に伝えることも可能ですし、それを受けた人も、感謝の気持ちを直接伝えることができます。
贈与税に比べて相続税は、基礎控除・配偶者に対する税額減税措置・小規模宅地の特例などさまざまな軽減策が取られているのが特徴です。
また、生前に贈与を受けながら、相続時精算課税制度を選択して、課税関係を相続発生時まで先送りすることも有効です。
遺言の効用
そもそも、相続財産は、遺言者本人の物です。
生きている間はご自分が自由に処分できたはずですし、ご自分の死後、財産を誰にどの位譲るかも、遺言者の自由です。
ですから、遺言は遺言者の最終意思として最大限度に尊重され、その意思が明確な場合は、相続人はその意思に従って財産の分配を受ける事になります。
相続人は、本来、遺言者の意思に反して財産争いをすることはできないはずです。
遺言はご自分の意思に基づいて相続財産の配分等ができますが、遺言は民法で定められた方式や要式に規定があります。 不備があると遺言が無効となってしまいますので、作成にあたっては注意が必要です。
また、相続財産の内容や、それをどのように各相続人に分配するか、あるいは、遺留分への配慮などについては、事前にご理解した上でないと、「争族」を防ぐ上での逆効果になりかねません。
また、特定の相続人に多めに財産を分配するような場合には、付言事項でその配分をした理由や心情を記載した遺言を残されることをお薦め致します。