自社株の承継対策

 事業承継で経営者の方が最も心配されるのが、自社株の相続に伴う相続税対策です。
 特に、中小企業の多い日本では、非上場株式や非上場企業の価値の評価が重要ですが、これが困難だと言われているのです。
 非上場会社の評価は、相続税・贈与税の計算上、「取引相場のない株式」に分類されます。

 その評価方法は、大きく分けると
■純資産価額方式
■類似業種比準方式
■配当還元方式

 に大別されます。

純資産価額方式

 純資産価額方式は、会社の総資産や負債を相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。

類似業種比準方式

 類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの配当金額、利益金額及び純資産価額の三つで比準して評価する方法です。

配当還元方式

 主に経営に従事しない少数株主に対する評価方法で、過去1~2年の配当金額に基づいて評価する方法です。会社の後継者となる相続人にはまず適用されません。

会社の規模別評価方法

 これらの評価方法は、会社の規模(資産総額・従業員数・売上高等)によって、以下のように変わります。

大会社

 原則は類似業種比準方式

中会社

 類似業種比準方式と純資産方式の併用方式

小会社

 純資産方式または類似業種比準方式と純資産方式の併用方式

 取引相場のない株式は、原則として以上のような方式により評価しますが、同族株主以外の株主等が取得した株式については、その株式の発行会社の規模にかかわらず、原則的評価方式に代えて特例的な評価方式の配当還元方式で評価します。配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

 事前に持株や不動産を贈与したり、他人に売却するなど、長期的効果が期待できる対策をすることが重要です。
 また、経営者自身が所有する株式や、経営している会社の自社株や不動産等の財産は、今後の事業継続を考えて後継者へ集中させて引き継がせることが重要です。

 不動産の場合であれば、経営者名義のものを会社名義、あるいは後継者名義にする必要があるでしょう。
 親族や後継者に売却する形式で同時に節税効果を狙うこともあります。

 いずれにしても、どのような財産を引き継ぐかは,相続人となる親族も含めて、よく話し合い、お互いに納得することが大事です。
 これを怠ると、会社経営を揺るがす事態になることもよくあります。

 法律面、税金面、経営面で専門家に相談をするのが望ましいでしょう。

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