相続不動産の名義変更をしなければならない本当の理由

 相続登記とは、相続財産である土地や建物の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人に変更する手続きです。
 この手続きを怠ると、その土地や建物の所有者が登記記録上明らかにならないため、さまざまな不都合が生じる可能性があります。
 しかし、相続登記には明確な期限が定まっていないために、あるいは下記のような誤解によって怠っているケースが多発しています。

登記を被相続人(故人)名義のまま放置する理由

・死亡した人が住所地から遠いところに不動産を保有していて、相続人がその存在を知らないか、または発見することが出来ないために、名義変更を怠ったケース。

→登記を故人名義のまま放置し、何年もの歳月が経過すると、相続する権利を承継する相続人の人数が、世代が下るごとにどんどん増えていき、また、お互いに面識のない相続人が増えていくため、遺産分割そのものが出来なくなるか、話がまとまりにくくなります。

・相続人が(借金などを理由に)行方不明になってしまい、その相続人が不在のために、遺産分割協議ができないと思い込み名義変更をしなかったケース。

→相続人が、なんらかの理由で行方不明になってしまうこともあります。
 しかし、その遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、行方不明の相続人が居ると遺産分割は成立しません。
 しかし、このような場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人の申立て」を行い、行方不明になってしまった相続人の代わりに弁護士や司法書士などが行方不明者の財産管理人として、遺産分割協議に参加することができます。

 また、7年間以上生死不明の場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申立を行い、行方不明者を法律上死亡したものとみなす制度もありますので相談下さい。

・登記済証(権利証)を紛失したため、相続登記ができないと思い込んでいる。

→不動産を所有している方は、権利証(不動産登記法改正後は、登記識別情報)を保管していると思います。
 しかし、自分名義の不動産ならきちんと権利証を保管している方でも、故人(被相続人)の権利証の保管場所は、とりわけ別居していた場合には、わからないことがあります。

 しかし、相続を原因として不動産の名義変更をする場合には、実は権利証(登記識別情報)は原則として必要ありません。

・不動産を相続登記をすると、“莫大な”相続税が発生すると思い込んでいる。

→財産を相続した時に、常に相続税が発生すると誤解している方が意外に多いのですが、相続税が発生する相続案件は、相続全体の5%に満たないのが現状です。
 つまり、上位5%の「お金持ち」以外は、相続税は課税されないのです。

・相続登記をせず、そのまま長期間放置してしまった場合、なんらかの罰則があると誤解して、名義変更ができなかった。

→不動産の相続登記が遅れたからといって、罰則などが適用されることはございません。ですから、今からでも、すぐに名義変更することをお勧めいたします。

・そもそも、相続登記が必要なことを知らない。

→相続に限らず、新たに不動産を取得した場合には、所有権の移転登記が必要になります。また、建物を新築した場合などには、所有権の保存登記が必要になります。大切な自分の土地や建物の権利を守るためにも、登記は絶対にしておくべきです。

【登記をしないデメリット】

・その相続財産(不動産)に関する自分の権利を対外的に公示することができない
・不動産を担保に銀行融資を受けられない。
・時が経つとともに、関係性の希薄な相続人が増え、まとまる話もまとまらなくなる。
・相続財産の名義変更(遺産分割)を終えてない場合は、法定相続人全員の共有財産となるので、その不動産の売却ができない。

相続トラブル事例!

金沢市在住の「石川健二さん(仮称)」の場合

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※①、②などの数字は、相続に関係する人たちの死亡した順序を表しております。
 健二さんは、相続に関するHPに「相続登記には期間の制限はなく、必要になった時に登記しても問題ない」と記載されていたことを覚えていた為、知り合いの司法書士の強い勧めを断って、自分の父である健吾さんの死亡後、健吾さんの所有である土地の相続登記をすることなく、父親名義のまま放置していました。

 その後、相続登記のことなどすっかり忘れて、14年が経過した後、その土地を購入したいという人が現れました。その話を喜んだ健二さんは売却を決めましたが、そのためには、まず相続登記をして、土地を健吾さん名義から健二さん名義にしなければなりませんでした。

 そこで、ようやく司法書士に相続登記の依頼をしました。しかし、相続登記を長年放置している間に、健二さんの兄弟である健一さん、健三さんが亡くなっており、 相続人の範囲が広がっていました。

 実は、健吾さんが亡くなった際には、その土地は次男である健二さんが相続することで話がまとまっていましたのですが、そういった事情を全く知らない新たな相続人達と健二さんとは、お互いに縁遠い人間同士であり、何度か遺産分割協議(遺産を分ける話し合い)を行いましたが、結局話がまとまらず、売却代金を相続人全員で、法定相続分に応じて山分けることになり、健二さんの手元にはわずかな額しか入りませんでした。

 このように、すぐに相続登記をしないと、あまり面識のない、あるいは被相続人が亡くなった際の事情を知らない相続人と遺産分割協議を行わなければならなくなるため、結局話がまとまらなくなったり、協議そのものが開けなくなり、不動産の売却が出来なくなるといった問題が生じる可能性があります。

 したがって、相続登記は、やはりなるべく早い段階で行う必要があるといえます

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